第68回:腰痛の原因と対処の仕方 代表的な症例について |
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水島協同病院診療部科長(整形外科) 西沢 正人 |
(1)青壮年期によく起こる腰痛 急性腰痛症 重いものを持ち上げたり、急に腰をひねったりしたときなど、日常生活の動作で腰に急にショックを感じて痛くなる、いわゆるぎっくり腰です。 腰部椎間板ヘルニア 青壮年に起こる、代表的な腰痛です。クッションの働きをする椎間板からヘルニア塊が飛び出して、馬尾神経や神経根を圧迫して腰や下肢の痛みを引き起こします。 (2)加齢による腰痛 変形性腰椎症 加齢とともに椎間板の水分が減少し、椎間板が狭くなります。腰椎の端に骨のトゲができはじめ、進行すると骨の硬化や椎間板が狭くなります。高齢者の腰痛の代表格です。 腰部脊柱管狭窄症 変形性腰椎症の一部は進行すると脊髄を保護している脊柱管が狭くなってしまいます。このため神経や血管が圧迫され、腰痛や下肢痛だけでなく、下肢の歩行時疼痛を発生し、永く歩きにくくなる症状が出ます。 骨粗鬆症 骨がもろくなって、荷重がかかると脊柱が骨折したり、起こりやすい状態となって腰痛が発生します。高齢の女性に多いです。 (3)炎症や腫瘍、内臓疾患で起こる腰痛
脊椎でのリウマチ性疾患の関節炎、細菌などの感染症。強直性脊椎炎、脊椎カリエスなど。 腫 瘍 脊椎、脊髄の腫瘍や転移性腫瘍。 内臓疾患(背骨以外が原因) 泌尿器、消化器、生殖器などの病気、その他多数の原因が考えられます。 以上にあげましたようにたくさんの原因で腰痛は発生いたします。単純に老化現象だからと思い込むことは危険です。次に簡単な腰痛の見分け方をお示しします。 「腰痛のでかた」による対処の仕方 加齢による腰痛は動作時痛、動作開始時痛で、身体を動かさなければ、さほど痛みはありません。一方、運動と関係なくどんな姿勢をとっても痛む、寝ても覚めても痛む、夜間痛があるなど“自発痛”といわれる痛みを感じる時は、要注意です。出来れば早急に医師の診察を受けることをお勧めします。 |